愛猫との楽しいスキンシップとして欠かせない抱っこ。しかし、「抱っこしようとすると逃げてしまう」「正しい抱き方がわからない」など、猫の抱き方に悩む飼い主さんは少なくありません。
猫は本来、体を拘束されることを好まない動物です。そのため、間違った抱き方をしてしまうと、愛猫にストレスを与えるだけでなく、ケガの原因にもなりかねません。
この記事では、猫の習性を理解した正しい抱き方から、避けるべきNGポイント、抱っこを嫌がる猫との信頼関係の築き方まで、猫の抱き方について詳しく解説します。
- 猫を安全に抱っこするための基本的な手順と正しい持ち方
- 猫がストレスを感じないための抱き方のコツと注意点
- 猫が抱っこを嫌がったり逃げたりする理由と対処法
- 猫との信頼関係を深めるためのスキンシップの方法
💭 専門家の見解

「動物行動学の研究(公益社団法人日本獣医師会)によると、猫は生後2~7週齢の社会化期における人との接触経験が、その後の抱っこに対する受容性に大きく影響することが報告されています。適切な抱き方を覚えることで、愛猫との絆を深めることができます。」
猫の抱き方の基本とNG行動を徹底解説
猫とのスキンシップの中でも、抱っこは飼い主にとって特別な行為です。しかし、正しい方法を知らないまま抱っこしてしまうと、猫にとっては大きなストレスや危険を伴うこともあります。
初心者の方必見!基本的な抱っこの手順

猫を安全に抱っこするためには、正しい手順を知ることが大切です。まずは猫の様子を観察し、リラックスしているタイミングを見計らいましょう。
抱っこの基本的な手順
猫がリラックスしているか確認
ゆっくりと猫に近づき、優しく声をかける
片手で胸の下、もう片方でお尻を支える
ゆっくりと優しく持ち上げる
飼い主の体に寄せて安定させる
抱っこの際は、猫の前足が自然と飼い主の腕に乗るような形になることを目指します。急な動きは避け、ゆっくりと優しく抱き上げることがポイントです。
また、抱っこをする前に猫と目を合わせたり、やさしく声をかけたりすることで、猫も心の準備ができます。初めは短時間から始め、徐々に抱っこの時間を延ばしていくことをおすすめします。
抱っこするときのNGな「持ち方」に注意

猫を抱っこする際、思わぬケガや事故を防ぐために避けるべき持ち方があります。
絶対に避けるべきNGな持ち方
- 脇の下だけを持って抱え上げる:内臓に負担がかかり危険
- 前足だけを持って抱き上げる:関節を痛める可能性
- 首の後ろの皮をつかんで持ち上げる:成猫には体重が重すぎて危険
- 片手で支える:不安定で落下の危険性
特に気をつけたいのが、脇の下だけを持って抱え上げる方法です。このような持ち方をすると、猫の内臓に負担がかかるだけでなく、不安定な体勢のため落下の危険性も高まります。
実際、多くの飼い主が知らずにやってしまいがちなNGな持ち方として、首の後ろの皮をつかんで持ち上げることがあります。これは子猫を運ぶ母猫の行動を真似たものですが、成猫の場合は体重が重いため危険です。
やってはいけない危険な「抱き方」とは

猫との生活で思わぬ事故を招く可能性があるのが、危険な抱き方です。ここでは特に注意が必要な抱き方をご紹介します。
危険な抱き方の例
危険な抱き方 | リスク | 正しい方法 |
---|---|---|
逆さまに抱く | 内臓への負担、恐怖感 | 自然な体勢を保つ |
胸だけ支えて後ろ足宙づり | 不安定、落下リスク | お尻もしっかり支える |
高い位置で抱っこ | 落下時の重大事故 | 座った状態で抱っこ |
強く圧迫する抱っこ | 呼吸困難、ストレス | 優しく包み込む |
まず避けるべきなのが、猫の前足を無理に引っ張って抱きかかえる方法です。この抱き方では、猫の肩や関節に過度な負担がかかり、最悪の場合、脱臼や骨折などの重大な怪我につながる可能性があります。
また、猫を逆さまに抱くことも厳禁です。人間の赤ちゃんのように抱っこしたくなる気持ちはわかりますが、猫にとって逆さまの状態は強い恐怖と不安を感じる体勢となります。
抱っこ時に猫の体がだらーんとなる理由

猫を抱っこしようとすると、突然体が「だらーん」と脱力してしまうことがあります。この行動には、実はいくつかの重要な意味が隠されています。
だらーんとなる理由
- 抵抗のサイン:抱っこを避けようとする防衛反応
- 過去のトラウマ:嫌な経験が関係している可能性
- 完全なリラックス:信頼感からの脱力(稀なケース)
- 体調不良:病気や怪我のサイン
第一に考えられるのが、抱っこに対する強い抵抗感の表れです。猫は本能的に地面から離れることを好まない動物です。そのため、抱き上げられそうになると、全身の力を抜いて体を重くすることで、抱っこを回避しようとする場合があります。
ただし、中には飼い主に対する信頼感から、完全にリラックスしてだらーんとなる猫もいます。見分け方として、耳の向きや表情が穏やかであれば、リラックスしている可能性が高いでしょう。
突然体がだらーんとなる行動が頻繁に見られる場合は、体調不良のサインかもしれません。特に普段は活発な猫が急にこのような症状を見せる場合は、獣医師への相談をおすすめします。
猫が喜ぶ抱き方のコツ

猫に喜んでもらえる抱き方には、いくつかの重要なコツがあります。適切な抱き方を知ることで、猫とのスキンシップがより楽しいものになるでしょう。
抱っこ成功のポイント
- タイミングを見極める:リラックス時を狙う
- 両手でしっかり支える:安定感を重視
- 自然な姿勢を保つ:横向きが理想的
- 体温を感じさせる:飼い主の体に寄せる
- 短時間から始める:10秒程度から徐々に延長
まず大切なのが、猫の気分を読み取ることです。遊んだ後や食事の後など、猫がリラックスしているタイミングを選びましょう。また、耳が前を向いていたり、しっぽが上を向いているときは、抱っこを受け入れやすい状態です。
抱っこをする際は、両手でしっかりと支えることがポイントです。片手は胸の下に添え、もう片方の手でお尻を包み込むように支えます。このとき、猫の前足が自然と飼い主の腕に乗るような状態になれば理想的です。
猫の習性を理解した正しい抱き方のコツ
猫が気持ちいい抱っこのポイント

猫が心地よく感じる抱っこ(日本動物行動学会)には、細かな配慮が必要です。ここでは、猫が本当にリラックスできる抱っこのポイントについて詳しく説明します。
気持ちいい抱っこの要素
要素 | 詳細 | 効果 |
---|---|---|
体温の共有 | 胸に寄せて心音を感じさせる | 安心感の向上 |
姿勢の安定 | 体全体をしっかり支える | 恐怖感の軽減 |
優しいコミュニケーション | 話しかけ、なでる | リラックス効果 |
環境への配慮 | 静かな環境を保つ | 集中力の向上 |
最も重要なのは、猫の体温を感じられる距離感です。抱っこの際は、優しく胸に寄せることで、飼い主の体温と心音を感じられる状態を作ります。これは子猫が母猫に抱かれているような安心感を与えます。
また、姿勢の安定性も欠かせません。猫の体全体がしっかりと支えられた状態を保ち、揺れすぎないよう注意します。特に、お腹周りが圧迫されないよう気をつけることで、より快適な抱っこが実現できます。
抱っこしようとすると逃げる理由

猫が抱っこを避けて逃げてしまう行動には、いくつかの理由(日本獣医動物行動学会)が隠されています。この行動を理解することで、より良い関係作りのヒントが見えてきます。
逃げる主な理由
- 過去の悪い経験:乱暴な抱っこのトラウマ
- 本能的な警戒心:地面から離れることへの不安
- タイミングの問題:忙しい時間帯の強制
- 性格的要因:臆病や神経質な性格
- 健康上の問題:痛みや不調がある場合
まず考えられるのが、過去の悪い経験です。乱暴な抱っこをされたことがある猫は、人に抱かれることに恐怖を感じます。また、高所から落ちた経験がある場合も、地面から離れることへの不安から逃げ出してしまうことがあります。
本能的な要因も大きく影響しています。猫は地上で生活する動物であり、突然体が宙に浮く状態になることを本能的に警戒します。さらに、急に上から手が伸びてくる動作は、天敵に襲われる危険を連想させる可能性もあります。
💭 改善のヒント

逃げる猫への対処は、まず無理強いをしないことから始まります。猫のペースに合わせて、少しずつ信頼関係を築いていくことが重要です。
リラックスさせる効果的な声のかけ方

猫をリラックスさせる声かけは、スキンシップを成功させる重要な要素です。適切な声のトーンや言葉選びで、猫との信頼関係を深めることができます。
効果的な声かけのポイント
- トーン:優しく低めの声でゆっくりと
- 言葉:「よしよし」「いい子だね」など短い言葉
- タイミング:視線を少しそらしながら
- 観察:猫の反応を見ながら調整
- 名前呼び:語尾を優しく上げる
最も効果的なのは、優しく低めの声でゆっくりと話しかけることです。高い声や大きな声は猫を緊張させてしまうため避けましょう。「よしよし」「いい子だね」などの短い言葉を、穏やかなトーンで繰り返すことで、猫に安心感を与えることができます。
また、声かけのタイミングも重要です。猫の目を見つめながら話しかけるのではなく、視線を少しそらしながら、さりげなく声をかけることをおすすめします。直接的な視線は、猫にとって威圧的に感じることがあるためです。
抱っこを嫌がる猫との信頼関係の築き方

抱っこを嫌がる猫との関係改善には、時間をかけた丁寧なアプローチが必要です(動物の行動と管理学会)。焦らず、猫のペースに合わせて信頼関係を築いていきましょう。
段階的なアプローチ方法
段階 | 期間目安 | 取り組み内容 | 達成目標 |
---|---|---|---|
第1段階 | 1~2週間 | 基本的なコミュニケーション | 警戒心の軽減 |
第2段階 | 2~4週間 | 軽いスキンシップ | タッチへの慣れ |
第3段階 | 1~2ヶ月 | 体への接触時間延長 | 信頼関係の構築 |
第4段階 | 2~3ヶ月 | 抱っこの練習 | 短時間抱っこの実現 |
まずは抱っこを一旦あきらめ、猫が好む方法でコミュニケーションを取ることから始めます。例えば、おもちゃで一緒に遊んだり、猫の好きなおやつをあげたりすることで、飼い主に対する良い印象を少しずつ作っていきます。
次の段階として、猫が自分から近づいてきたときだけ、やさしくなでることをおすすめします。このとき、頭やあごの下など、猫が心地よく感じる場所を見つけることが大切です。
💭 重要なポイント

抱っこに慣れていない猫の場合、完全に抱っこ好きになるまでに数か月以上かかることも珍しくありません。根気強く接することで、多くの猫は少しずつ抱っこを受け入れるようになっていきます。
抱っこ練習で使えるおすすめグッズ
抱っこの練習をスムーズに進めるために、以下のようなグッズを活用することをおすすめします。
練習に役立つアイテム
- 高品質なおやつ:抱っこ後のご褒美として
- フェリウェイなどのフェロモンスプレー:リラックス効果
- 柔らかいブランケット:安心感を与える
- 猫用マット:練習場所の確保
これらのグッズを使用する際は、猫の好みや性格に合わせて選ぶことが大切です。個体差がありますので、獣医師にご相談ください。
よくある質問(FAQ)
まとめ:正しい抱き方で愛猫との絆を深めよう
猫の抱き方をマスターすることは、愛猫との関係を深める重要なスキルです。正しい手順と注意点を理解し、猫の気持ちに寄り添った抱っこを心がけましょう。
抱っこ成功の要点
- 猫の胸の下とお尻を両手でしっかりと支える
- リラックスした状態の時を見計らって実施
- 短時間から始めて徐々に延長
- 嫌がるサインを見逃さず、無理強いしない
- 継続的な信頼関係の構築が重要
本記事で紹介した方法を参考に、愛猫のペースに合わせて練習してみてください。すべての猫が抱っこを好きになるわけではありませんが、正しいアプローチにより、多くの猫は抱っこを受け入れるようになります。
💭 専門家からのアドバイス

抱っこは猫との重要なコミュニケーション手段の一つですが、無理強いは禁物です。猫の健康状態や性格を考慮し、適切な方法で行うことが大切です。不安な点があれば、かかりつけの獣医師に相談することをおすすめします。
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