愛猫への愛情から行う食事のお世話が、実は愛猫の健康を脅かしているかもしれません。
「良かれと思って」行っている与え方の中には、猫の寿命を縮める危険な習慣が隠れています。
この記事では、多くの飼い主が無意識に行っている「間違った与え方」を7つ挙げ、なぜ危険なのか、どう改善すべきかを詳しく解説します。愛猫の健康を本当に守りたい方は、ぜひ最後までお読みください。
- 人間の食べ物を与えるのは中毒のリスクが高い
- 置き餌は肥満や食中毒の原因となる
- カロリー計算なしの「欲しがるだけ」給餌は危険
- 年齢に合わないフードは栄養バランスを崩す
危険度MAX!絶対やってはいけない間違った与え方7選
1. 人間の食べ物を「少しだけ」与える

危険度(MAX):★★★★★
「ちょっとだけなら大丈夫」そう思って人間の食べ物を与えていませんか。
これは猫にとって最も危険な習慣の一つです。
なぜ危険?
- 玉ねぎ、チョコレート、ぶどうなどは猫にとって致命的な毒物
- 人間用の味付けは塩分・糖分・脂肪分が過多
- 少量でも蓄積により内臓に負担をかける
改善策
- 人間の食べ物は一切与えない
- 家族全員でルールを共有する
- どうしても何かあげたい場合は猫用おやつを使用
2. 一日中フードを置きっぱなしにする「置き餌」

危険度(4):★★★★☆
忙しい飼い主に多い「置き餌」ですが、複数のリスクを抱えています。
なぜ危険?
- 食事量の管理が困難で肥満の原因となる
- フードの酸化により風味が劣化
- 細菌繁殖による食中毒のリスク
- 食欲不振のサインを見逃しやすい
改善策
- 決まった時間に適量を与える
- 30分~1時間で食べ残しは下げる
- 1日2~3回の食事回数に分ける
3. カロリー計算をせず「欲しがるだけ」与える

危険度(4):★★★★☆
猫が可愛くおねだりすると、ついつい多めに与えてしまいがちです。
なぜ危険?
- 肥満は糖尿病や関節炎のリスクを高める
- 猫は満腹感を感じにくい動物
- 過食による消化器への負担
改善策
簡体重別1日カロリー目安表
猫の体重 | 一般的な成猫 | 去勢・避妊済み | シニア猫(7歳~) |
---|---|---|---|
3kg | 210kcal | 180kcal | 165kcal |
4kg | 280kcal | 240kcal | 220kcal |
5kg | 350kcal | 300kcal | 275kcal |
6kg | 420kcal | 360kcal | 330kcal |
使い方
フードパッケージの「100gあたり○○kcal」を確認し、上記目安カロリーになるよう分量を計算してください。個体差があるため、詳しくは獣医師にご相談ください。
4. 年齢に合わないフードを与え続ける

危険度(3):★★★☆☆
「食べているから大丈夫」と同じフードを与え続けるのは危険です。
なぜ危険?
- 子猫に成猫用:成長に必要な栄養が不足
- 成猫に子猫用:カロリー過多で肥満の原因
- シニア猫に成猫用:消化に負担、腎臓への悪影響
改善策
- 生後1年まで:子猫用(高カロリー・高タンパク)
- 1~7歳:成猫用(適正カロリー管理)
- 7歳以上:シニア用(消化しやすく低リン)
5. 新しいフードに一気に切り替える

危険度(3):★★★☆☆
「今日から新しいフード」という急な切り替えは、猫の体に負担をかけます。
なぜ危険?
- 消化器への負担で下痢や嘔吐
- 新しいフードへの警戒心で拒食
- ストレスによる体調不良
改善策:7日間かけた段階的切り替え
- 1~2日目:新フード25% + 今のフード75%
- 3~4日目:新フード50% + 今のフード50%
- 5~6日目:新フード75% + 今のフード25%
- 7日目~:新フード100%
6. 多頭飼いで個別管理をしない

危険度(3):★★★☆☆
複数の猫を飼っている場合、「みんな一緒」の食事は危険です。
なぜ危険?
- 年齢や体格差による必要量の違い
- 療法食が必要な猫の食事管理ができない
- 他の猫のフードを盗み食いするリスク
改善策
- 食事場所を分ける
- 個別の食器を使用
- 食事時間をずらす
- 必要に応じてケージやキャリーを活用
7. 食欲不振を「様子見」で放置する

危険度(MAX):★★★★★
「そのうち食べるだろう」という放置は、命に関わる危険があります。
なぜ危険?
- 食事量の管理が困難で肥満の原因となる
- フードの酸化により風味が劣化
- 細菌繁殖による食中毒のリスク
- 食欲不振のサインを見逃しやすい
改善策
- 決まった時間に適量を与える
- 30分~1時間で食べ残しは下げる
- 1日2~3回の食事回数に分ける
なぜ危険?
- 24時間以上の絶食で肝リピドーシスのリスク
- 脱水症状の進行
- 病気の早期発見の遅れ
改善策:受診の目安
- 子猫(3ヶ月未満):8時間で受診
- 子猫(4-6ヶ月):12-16時間で受診
- 成猫:24時間で受診
- 肥満猫・高齢猫・持病のある猫:より早期の受診を
愛情が裏目に?よくある間違いパターン
パターン1:「美味しそうだから」人間の食事を分ける

間違い例

「お刺身を食べていたら欲しがるので、少しだけあげています」
なぜ危険?
- 人間用の刺身には寄生虫のリスク
- 醤油やわさびなどの調味料も危険
- 「少しだけ」のつもりが日常化
正しい対応
- 猫用に調理されたフードやおやつを与える
- 人間の食事時は別の部屋で過ごしてもらう
パターン2:「可哀そうだから」おねだりに応じる

間違い例

「鳴いておねだりするので、ついつい追加であげてしまいます」
なぜ危険?
- 肥満の最大の原因
- おねだり行動が強化される
- 本来の食事時間のリズムが崩れる
正しい対応
- 決められた量・時間を守る。
- おねだりには応じず、遊びで気をそらす。
パターン3:「忙しいから」管理を怠る

間違い例

「朝たくさんあげておけば、帰宅まで大丈夫だと思っていました」
なぜ危険?
- 一度に大量摂取すると嘔吐のリスク
- 長時間放置によるフードの劣化
- 食事量の把握ができない
正しい対応
- 自動給餌器の活用や、家族での分担により適切な食事管理を継続。
正しい食事管理で愛猫の健康寿命を延ばそう

理想的な1日の食事スケジュール
- 体重に応じた適量を測って給餌
- 新鮮な水を用意
- 再度適量を測って給餌
- 食器の清潔を保つ
- 食べ残しがあれば片付ける
- 翌日の準備
食事環境のチェックポイント

- 場所:静かで安心できる場所
- 食器:広くて浅い陶器製またはステンレス製
- 高さ:シニア猫には少し高めの食台
- 清潔さ:毎回食器を洗う
- 距離:トイレから最低50cm以上離す
よくある質問:間違った与え方への対処法
まとめ:愛情の示し方を見直そう

猫への愛情表現として食事を与えることは自然な行動です。しかし、間違った与え方は愛猫の健康を脅かし、結果的に一緒に過ごせる時間を短くしてしまう可能性があります。
今すぐ見直すべき7つのNG行為
- 人間の食べ物を与える
- 置き餌による管理の放棄
- カロリー計算なしの給餌
- 年齢に合わないフード
- 急なフード切り替え
- 多頭飼いでの個別管理不足
- 食欲不振の放置
真の愛情とは、正しい知識に基づいた適切な食事管理です。「可哀そう」という一時的な感情ではなく、愛猫の長期的な健康と幸福を考えた選択をしていきましょう。
あなたの食事管理、本当に大丈夫ですか?